実写版「カウボーイビバップ」はキャスティングで大失敗
今回の話題も、投資とは関係がありません。
世界中で人気となった日本発のアニメーション「カウボーイビバップ」が、ネットフリックスで実写ドラマ化されると聞いて、期待をふくらませたファンも多かったのではないでしょうか。
私も原作放映時から見ていたのですが、発表されたキャスト写真(上画像)を目にした瞬間、これはダメだ。。。と思ってしまいました。
案の定、続編制作が予定されていたにもかかわらず、第1シーズンでの打ち切りが先日発表されました。
1:キャスティングがダメ
今回の失敗の最大の要因は、やはりキャスティングの悪さでしょう。
私の中では、主人公のスパイクは(松田優作+ブルース・リー)÷2だったのですが、実際のキャストは少しやせたジャッキー・チェンのような感じで、まったく受け入れられませんでした。ヒロインのフェイも日本人から見ると全然、魅力を感じられないし、かろうじて許せたのは主人公の相棒ジェット役の俳優ぐらいだったでしょうか。
一番ひどかったのは敵役のビシャスで、冷酷な二枚目でなければいけないのに、実写版では小汚いサイコおやじになってしまっていました。
2:キャラクター設定がダメ
アニメ版のスパイクやジェット、フェイは賞金稼ぎであって、殺し屋ではないので、できるかぎり相手を殺しません。作中では多くの人が死にましたが、それらは自分の身を守るためか、止むに止まれぬ事情があるときにかぎられていました。
一方の実写版では、アニメ版のような繊細な設定はなく、彼らは躊躇なく人を殺します。無抵抗の相手や必要のない人まで殺すので、ただのアメリカ風アクションドラマといった趣きになっていました。
おまけに、親バカのジェット、哀願するビシャス、腹黒いジュリアなど、原作ファンが首をひねる設定の連続でした。
3:雰囲気がダメ
アニメ版では、舞台設定は猥雑であっても、台詞や音楽などの端々から、おしゃれな大人の雰囲気が感じられました。それに対して実写版は、薄汚れた世界で大味なストーリーが展開されるだけで、洗練されたおしゃれさはほとんどありませんでした。
4:演出がダメ
日本のアニメーションが人気があるのは、たとえ予算が少なく、作画にお金をかけられなくても、優れた演出力と繊細なストーリー構成によって、それらをカバーしているからでしょう。
一方、例えば中国のアニメがたっぷり予算をかけた綺麗な絵で作られていても、まったく面白くないのは、これらが欠けているからにほかなりません。
世界のエンターテインメント業界では絶えずコンテンツが不足しているので、日本のマンガやアニメが実写映画・ドラマ化されることも増えてきました。
しかしそれらのほとんどが失敗に終わるのは、日本のマンガやアニメを面白くしているのが、日本独自の演出やストーリーであることをアメリカの製作者が理解していないからでしょう。
5:これからの実写版に望むこと
ですから、許諾権を持つ日本側の企業はただ制作の権利を売るだけではなく、キャスティングやストーリー、ディレクションにも発言権を持つような契約にしないと、これからも大味なハリウッド映画風の失敗作が生み出され続ける気がします。
これまでに作られた日本アニメのアメリカ版実写や3D・CG映画で、かろうじて見られたのは「攻殻機動隊」ぐらいでしたが、これには日本のプロダクションIGが深く関わっていたと聞いています。(そのかわりアメリカの評判は散々で、興行的にも失敗だったらしいですが。)
現在ネットフリックスでは実写版「ワンピース」を製作中のようですが、今回と同じ轍を踏まないように頑張ってほしいところです。